職員への有給休暇付与と使用者側の時季変更権/機関紙2014年10月1日号(№535号)より

職員への有給休暇付与と使用者側の時季変更権/機関紙2014年10月1日号(№535号)より

 

質問 今年四月から勤務している正社員のスタッフから有給休暇の請求があった。「入職半年したら有給休暇を与えなければいけない」という話を聞いたことはあるが、この従業員は入職以来、病気で何日か休んでいる。実際に有給休暇を与えないといけないのか?

回答 労働基準法では、「その雇入れの日から起算して6カ月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して有給休暇を与えなければならない」と定めています(第39条1項)。したがって、ご質問のケースでは入職後6カ月間の所定労働日に対しての出勤率が8割以上であれば、有給休暇を与える必要があります。なお、出勤率の算出の際、「全労働日」に含まれない日や、出勤しなくても「出勤日」として扱う日がありますのでご注意ください。

 

質問 正社員スタッフに有給休暇は何日間与えなければならないか。

回答 入職後6カ月経過した時点で、出勤率が8割以上の場合は10日です。以降、1年を経過するごとに11日、12日と与えていくことになります。なお、1年ごとに出勤率が8割以上であることが要件となります。

 

質問 パートのスタッフから有給休暇の請求があった。有給休暇は与えないといけないのか?

回答 パートのスタッフであっても、有給休暇は与える必要があります。入職後6カ月間の出勤率が8割以上、その後は1年ごとの出勤率が8割以上という要件は同じです。なお、週の所定労働日数が4日(もしくは年216日以上)を超える方、または週の所定労働日数が30時間以上の場合はたとえパート待遇であったとしても、正社員と同じ日数を与えることになりますのでご注意ください。

 

 

質問 あるスタッフが有給休暇を請求してきた。しかし、休む予定日がちょうど患者の予約が詰まっており、実際に休まれたら業務が進まない。どうすればよいか?

回答 有給休暇を取得することそのものを拒むことはできませんが、事業の正常な運営を妨げる場合には、他の時季の取得に変更することができます(労働基準法第39条5項但書)。具体的には、「この日は患者さんの予約が詰まっているから、別の日にしてほしい」といった話し合いを持つことが認められるということです。