歯科保健医療政策を概観する①/2016年度厚生労働省歯科保健関連予算概算要求案

歯科保健医療政策を概観する①/2016年度厚生労働省歯科保健関連予算概算要求案

厚生労働省の2016年度予算概算要求案が8月末に財務省に提出されたが、総額は30兆6000億円となったが、その中で歯科保健医療関連予算の詳しい内容が明らかになった。

歯科保健医療関連予算は総額14億6000万円。その内訳は、①歯科保健医療の充実・強化:6億円、②歯科口腔保健の推進:8億6000万円―の2本となっている。以下に具体的な紹介するが、これらの事業は政府が2014年度から設けた“新しい日本のための優先課題推進枠”での要求となっており、厚労省全体で進める健康寿命延伸に向けた取り組みの一環と位置付けられている(2回連載)。

◆歯科保険医療の充実・強化

厚労省医政局歯科保健課が所管する各種事業のうち、2016年度新規政策として要求しているのは、「歯科口腔保健支援事業」と「歯科疾患実態調査」の2本。

支援事業は、地域での住民との対話の場を設けることやシンポジウム開催など、国民に対する歯科口腔保健の普及活動を推進するというもので321万円を要求。また、歯科疾患実態調査は、これまでは6年ごとに実施されていたこの調査を、今後は5年ごとの実施に変更するもので、日本の歯と口腔に関する健康状態を把握し、歯科口腔保健の推進に関する基本的な事項の評価を行うなど、今後の歯科保健医療対策の推進に必要な基礎資料を収集するもので、3454万円を要求している。

そのほかの主な継続事業としては、「口腔保健推進事業」(要求額3億1061万円)で口腔保健支援センター設置事業を増額するほか、「8020運動推進特別事業」(同1億1552万円)では人件費補助の増額を図る。また、「歯科保健サービスの効果実証事業」(同1億3665万円)も継続して進められ、従来から行っている糖尿病患者や要介護高齢者に対する歯科検診実施を通じた重症化・疾病予防効果や効果的なスクリーニング・歯科保健指導実施方法などを引き続き検証するほか、厚労省内の健康局、老健局、児童家庭局などと連携しながら各ライフステージごとの歯科保健サービスの実証を行う。