【歯科医療情報観測】歯科情報の利活用および標準化とは何か ②

 前回は、歯科医療の変革について述べた。では、歯科医療情報標準化のために最初に何を始めたのか。
 2011年3月、東日本大震災が起こり、2013年から厚生労働省で標準化に向けた事業を開始した。口腔状態の表現を標準化し、診療情報の交換様式を視野に入れ、2017年には利活用および標準化普及事業が始まり、2020年に厚生労働省の標準規格が決定した。
 標準化事業の目的の一つである身元の確認のためには、データ交換ができることが必要となる。口腔を過不足なく表現し、歯科医療機関で共有でき、医科(SS-MIX2)との連携が必要となる。
 そのために、標準化仕様の定義に従った口腔状態の電子的記録を「口腔状態のスナップショット」と呼ぶことにして、身元の検索や確認ができるコード体系を作ることとした。標準化仕様である口腔診査情報標準コードに準拠することで、歯科医療機関同士で情報の共有化ができ、「口腔状態のスナップショット」を最新の状態に保つことで大規模災害での身元確認に資するデータが蓄積される。
 ここで先に述べるが、今後重要となるポイントがいくつかある。個人の口腔内の情報はセンシティブな個人情報に該当するため、利活用にかかわる法的側面が重要である。背景としては以下の法律がある。

①個人情報保護法(2003年)生きている個人に関する法律。
②医療情報システムの安全管理ガイドライン(2005年)厚生労働省
 ※死者の情報も対象であり、守秘義務がある。
③改正個人情報保護法(2017年)要配慮個人情報。医療情報はすべて要配慮個人情報であるから、オプトアウト(※)で提供できない。
 ※「オプトイン」は、臨床研究は文書もしくは口頭で説明を行い、患者さんからの同意(インフォームド・コンセント)を得て行われること。
  また、「オプトアウト」は研究の目的や実施についての情報を通知または公開し、研究のため
  に自分のデータが使用されるのを望まない場合は、拒否の機会を保障すること。

 将来的には、「口腔状態のスナップショット」は、生前情報の蓄積と死後情報のマッチングを目指していく。具体的には、乳幼児健診から後期高齢者歯周病健診まで一連の電子記録を蓄積し、管理できることを目指していく。
 次号では、標準化までの具体的な経緯について述べていきたい。

協会理事/広報・ホームページ部長 早坂 美都

(東京歯科保険医新聞2021年6月号3面掲載)