従業員採用における募集・面接・採用上の留意点

№275:2012.4.1:502号

質問1

従業員を募集するが、留意点を。

男女雇用機会均等法では、募集および採用について、性別や信条などによる差別は禁じられています。また、雇用対策法の改正により2007年10月から年齢の制限を設けることができなくなりました。そのため『歯科助手募集、30歳以下、女性に限る』等の募集要項は原則禁止です。これは、ハローワークをはじめ、民間の求人広告、ホームページなどを通じた直接募集にも広く適用されるものです。

質問2

面接の際、尋ねてはいけない質問があると聞いたが

面接は、志望動機や要望、労働条件などを質問とかみ合わせながら、人柄や意欲をみることで採用の採否を判断します。家族構成や生い立ちなど本人に責任のないものや、宗教、思想など本来自由であるべきものに関する質問を課してはいけません。厚生労働省の採用考察ガイドラインでは、次のような質問は禁止されています。すなわち、①本籍・出生地に関すること (本籍が記載された「住民票(写し)」を提出させることはこれに該当します)、②家族に関すること、③住宅状況に関すること、④生活環境・家庭環境などに関すること、⑤思想信条にかかわること、⑥男女雇用機会均等法に抵触すること(結婚及び出産後の就業継続の意思確認など)―です。公正な採用選考を行うことは、応募者の適性・能力とは関係ない事柄で採否を決定しないということです。そのため、応募者の適性・能力に関係のない事柄について、応募用紙に記入させたり、面接で質問するなどによって把握しないようにすることが重要です。これらの事項は、採用基準としないつもりでも把握すれば結果として採否決定に影響を与えてしまう可能性があり、就職差別につながるおそれがありますので注意が必要です。

質問3

採用上の留意点を

従業員を採用する際には、必ず「労働条件通知書」(※)を書面において交付しなければなりません。近年、この交付を行っていないことで、後にトラブルに発展するケースが後を絶ちません。必ず交付して下さい。「労働条件通知書」には絶対的明示事項として、①労働契約の期間、②就業場所・従事する業務の内容、③労働時間に関する事項(始業・就業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交替制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項)、④賃金の決定、計算、支払いの方法、賃金の締切り、支払の時期に関する事項、⑤退職に関する事項(定年制、自己都合退職の手続き、解雇の事由など)―があり、これらの事項について文書による交付義務があります。また、パートやアルバイトを雇用する場合であっても、交付義務がありますので気をつけて下さい。

※「労働条件通知書」のひな型は、希望者に無料配布している冊子「医院経営と雇用管理」に掲載しています。