未収金に関する税務と減価償却資産について/機関紙2017年2月1日号(№563号)より 

未収金に関する税務と減価償却資産について

質問1 自由診療で分割支払いしている患者さんがいる。二月時点でまだ未収金があるのだが、この未収分について、確定申告ではどう申告すればいいか。

回答1 未収金(売掛金)についても売上として計上する必要があります。会計処理は実際の現金収支の時期とは関係なく、診療があった時に売上を計上しなければいけません。そのため、未収金についても、代金回収を見越して売上に計上する必要があります。売上に計上した未収金を回収した場合、会計処理としては未収金の回収として、未収金残高を減らします。

質問2 未収金が回収できないまま、患者さんが遠方に引っ越してしまった。この場合の会計処理はどうすればいいか。

回答2 未収金を回収できないことが明らかになった場合、それが明らかになった事業年度において貸倒金として経費処理をすることができます。ただし、この会計処理を行うためには未収金が売上に計上されている必要があります。一般的には、1年を経過して、まだ回収できない未収金については、貸倒金として取り扱うことが多いようです。また、代金が回収できなかった証拠が必要になります。具体的には、普通郵便で請求書を送り、その後簡易書留や内容証明を利用し、何度も回収に努めたことや、患者さんと音信不通となり、回収不能となったことを説明できる証拠などを取った上で、経費処理をする必要があります。

質問3 診療所開業に伴い、土地や建物、医療機器を購入した。土地、建物、機器などには減価償却できるものとできないものがあると聞いたが、どういう理由か。

回答3 減価償却は価値の減少する資産に限られます。価値の減少しない土地などは減価償却の対象になりません。診療所等の建物や医療機器に関しては、経年劣化や使用による価値の減少があるので、年によって使用期間に応じた必要経費の算入が必要になります(所税法第2条)。10円未満の固定資産についてはその年の必要経費となります(所税法第138条)。10万円以上20万円未満の固定資産については、一括償却資産として、3年間で償却することになり、年ごとに3分の1を必要経費として算入します(所税法第139条)。

質問4 改装時に200万円の医療機器を購入した。減価償却資産にも固定資産税はかかるのか。

回答4 減価償却資産についても固定資産税はかかります。減価償却資産について、その年の1月1日現在の所有者に対して市町村から課税されます。年の途中に譲渡してもその年の1月1日に償却課税台帳に登録されている名義者が納税する義務を負います。税額は土地などと同様、償却資産課税台帳に登録されている価格に1.4%(注)を乗じて算出します。固定資産税には免税点があり、償却資産の課税価額の合計が150万円未満の場合は課税されません。

※注/地方税は市区町村によって税率が異なる場合があります。