ACCJとEBCが「医療政策白書2013年版/健康寿命の延長による日本経済活性化」を発表

ACCJとEBCが「医療政策白書2013年版/健康寿命の延長による日本経済活性化」を発表

 「ACCJ」DSCF0144在日米国商工会議所(ACCJ)および欧州ビジネス協会(EBC)はこのほど、日本経済の成長を促すための「医療政策白書2013年版/健康寿命の延長による日本経済活性化」を発表した(ACCJとEBCのホームページで全文の閲覧可)。全体は、①広範囲の医療テーマ、②非感染症の疾患、③女性関連の疾患、④感染症、⑤高度な安全性と観戦管理の重要性、⑥医療従事者の安全性について求められる特別な配慮―の7項目で取りまとめられ、各種提言が盛り込まれている。

同白書は、健康寿命を延ばし、予防・早期発見・治療可能な疾病による経済的負担を軽減するための政策提言を通じ、日本の経済成長を促すことを目的としているという。内容の柱は、①健康寿命の延長による疾病の経済的負担軽減のための医療政策提言、②世界の科学的調査に基づくデータと成功事例を基に、予防と早期発見に重点を置いた150以上の政策提言、③労働者の生産性向上および病気による就業不能状態と欠勤の低減につながる36の医療分野への提言―などとなっている。

上記③この36の医療分野をみると、歯科関連としては、48ページ以降に「口腔ケア」が取り上げられている。

◆口腔ケアに関する白書の概要

歯の健康は咀嚼だけでなく、食事や会話を楽しむなど高い生活の質を維持するためにも重要。近年、口腔の異常が全身の健康状況に影響を及ぼすことを示唆する科学的な証拠が増加。人々の口腔への意識も徐々に高まり、厚生労働省が実施する6年に1回の歯科疾患実態調査の結果では1日に2~3回歯磨きをする人の割合が、年々上昇している。

 一方、日本人のオーラルケア意識向上による歯磨き習慣改善にもかかわらず、2011年の調査では20歳以上の約70%以上が歯周病に罹患。若年層・高年齢層においては、05年調査よりもその割合は増加している点を指摘。

厚生労働省のキャンペーン「健康日本21」については、歯の喪失防止と喪失原因となる虫歯と歯周病の予防に触れ、2011年10月に厚生労働省がまとめた最終評価を紹介し、13指標のうち、目標値に達した項目は80歳で20歯以上、60歳で24歯以上の自分の歯を有する人の増加、過去一年間に定期歯科検診を受けた割合など5項目、改善傾向7項目、変化なし1項目であるとし、「これは健康づくりキャンペーンによる、行動変容(歯間清掃具やマウスウォッシュの使用率等)と歯磨き剤のフッ化物の効果がもたらしたもの」と評価。翌12年7月に「健康日本21」(第2次)の基本的方針を見直して全面改定を行い、歯・口腔の健康に関して、2022年度に向けた新たなる目標値を設定していることを紹介。さらに、11年8月には日本の歯科関連の法律としては56ぶりの新法として「歯科口腔保健の推進に関する法律」が公布され、歯科検診などが勧奨さていることなどを指摘している。

なお、「政策提言」として掲げられたのは、以下の4点だ。

◆政策提言

1)、歯周病の予防を一層強化するために歯科医師、歯科衛生士による従来の歯磨き指導に加え、さらに個々人の口腔状態に基づいた歯間部清掃(歯間ブラシやデンタルフロス)の指導や化学的プラークコントロール(マウスウォッシュ)の使用を推進する必要がある。

2)、若年層に多い歯肉炎の予防促進のために、児童の歯磨き教育の中に歯間部清掃(歯間ブラシやデンタルフロ ス)の指導を、追加して取り入れる必要がある。

3)、健康保険診療報酬制度は、患者に虫歯と歯周病の予防について指導をする歯科医に、より多い報酬で報いるべきである。

4)、フッ化物応用をされに進め、歯磨き剤以外の一般向けオーラルケア製品(医薬部外品のマウスウォッシュなど)にも活用できるように検討すべきである。