きき酒 いい酒 いい酒肴②/「失楽園」とシャトーマルゴー

きき酒 いい酒 いい酒肴②/「失楽園」とシャトーマルゴー  

渡辺淳一先生の「失楽園」はドラマ化、映画化、流行語大賞も受賞するなど、一時は社会現象にまでなりました。

 

 …あらかじめ材料を用意していたらしく、茸とベーコンにサラダに、鴨とクレソンの小鍋をあたためて食卓テーブルに並べる…

 

危険な情事の2人の主人公は、このあと、高級ワイン「シャトーマルゴー」の中に青酸カリをいれて心中するのです。

◆ブドウはカベルネソーヴィニョン

シャトーマルゴーとは、フランスボルドー地方のワインです。ここは、きらびやかな高級ワインを産出するシャトーが目白押し。それら「ワインの貴婦人」を生み出すブドウがカベルネソーヴィニョンです。小粒で黒味を帯びた厚く硬い種皮。

フランスだけではなく、カリフォルニア、オーストラリア、チリ、南アフリカでも栽培されており、いかにも「赤ワイン」らしいフレーバーを作り出すことができるのです。

「失楽園」に登場する鴨とクレソンの鍋には、レシピは書いていません。イメージだけで自宅で作ってみました。赤ワインをたっぷり鍋に入れ、市販の「白だし」を少々。鴨とクレソンだけでは寂しいので、焼いた長ネギを入れてみました。シャトーマルゴーは、さすがに高いので、手ごろな値段のボルドーを合わせてみました。

早坂先生ワインボトル写真

ほどよく脂がのった鴨には、さっと熱を加えただけのクレソンがよく合います。そして、カベルネソーヴィニョンのもつ強いタンニン、カシスに似た香り、かすかなメントールの香りがほどよく感じられ、爽快感を与えてくれます。

 「失楽園鍋」は、当院に勤務する衛生士のふたりにも食べてもらいました。「美味しくて、元気が出ますね!」のお褒めの言葉。あれ?元気がでるのなら、この鍋を食べて心中しようとは思わないかも…?

  (早坂美都/通信員/世田谷区)