保団連医療研究集会開催!

DSC03710  10月10、11日に都市センターホテル(東京)において、第30回保団連医療研究フォーラムが開催され、全国から医師・歯科医師・スタッフ・一般市民など併せて434名が参加した。当協会からは10名が参加した。

10日は、保団連の住江憲勇会長と次回主務地を代表して京都府保険医協会の飯田哲夫理事より挨拶が行われた。また、2015年4月~5月に全国の会員から30%無作為抽出しご協力いただいた、「骨粗鬆症治療薬等と顎骨壊死・顎骨骨髄炎 実態・意識調査」の結果報告がされた。顎骨壊死・顎骨骨髄炎患者は、医科で3.8%が経験しているのに対し、歯科では17.3%が経験していた。医科では診療科によって経験の有無に差があり、泌尿器科、整形外科が多く経験していた。顎骨壊死・顎骨骨髄炎の薬物使用割合は医科・歯科ともにビスフォスフォネート経口薬が約6割であった。次いでビスフォスフォネート注射薬が医科では13.5%、歯科では27.2%であった。歯科では顎骨壊死・顎骨骨髄炎患者の経験があると、休薬の依頼が増加し、薬の使用状況をより確認する傾向が示された。今回の実態調査から予防的投薬、治療薬効果のエビデンスや休薬の必要性、患者とのコミュニケーションなど多彩な問題点が浮き彫りにされ、今後さらに取り組みをしていきたいと締めくくった。

その後、黒坂黒太郎氏と矢口周美氏によるコカリナとミニハープの演奏が行われた。コカリナは木で作られたオカリナで、3.11関東大震災の一本松で出来たコカリナ、国立競技場の檜で出来たコカリナ、広島原爆を体験した榎で出来たコカリナの3種類を平和への祈りを込めて披露された。コカリナによって音色が異なり、心に訴えるものがあった。

特別企画は映画「いしゃ先生」予告上映と脚本家のあべ美佳氏による講演が行われた。予告上映では、主演の平山あや氏からのビデオメッセージも流され「撮影を通じて、志田先生の病院にかかれない人を無くしたいという思いが伝わってきた。この思いをみんなに伝えていきたい」と語られた。あべ氏は志田周子医師の生涯を紹介し「患者は医師に過剰な期待を寄せることがある。医師は患者の命を守る、地域住民は先生の生活を守ることをしっかりやっていかなくてはならない。地域の医師不足解消のために、何ができるのか。これからも一緒に考えていきたい。」と述べた。

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記念講演は戦後70年―人間として言うべきこと―と題して、俳優の宝田明氏が講演。小学校5年生までハルピンで過ごした経験を紹介しながら「戦争は非戦闘民であっても人生を狂わされる。戦争は憎しみ、憎悪しか残さない。夢・希望・愛全てを奪いさるものでしかない」と述べた。また、安保法案についても触れ「戦後70年守り続けて、育ててきた“戦力は持たない”という理念を為政者とその周りによってタガが外されてしまった。そういう政権を日本が作ってしまった」と強く批判した。最後にゴジラは被爆者の一人であり、世界に向けた核廃絶のメッセージが込められていると紹介し、平和を守り続けることが我々の使命であると、平和への願いの歌を披露し、幕を閉じた。

11日の午前は分科会が開催され、歯科診療の研究と工夫の第3分科会で、きょうどう歯科医院歯科助手の渡邊理美氏が「患者さんとのコミュニケーションを深める広DSC03742報紙づくり」をテーマに、患者とのコミュニケーションを深める上での広報紙の役割について、きょうどう歯科医院での取り組みを報告した。広報紙では①患者さんの目線で②患者さんのことを③患者さんにもかいてもらうの3点を意識していると紹介し、患者参加型の広報紙作成をすることによって、患者の職業や生活の背景、趣味などをより理解できたり、院内イベントを企画するきっかけになるとした。また、スタッフもそれぞれの立場でできるだけ患者とコミュニケーションをとろうと積極的になることで、より深い信頼関係が築けるとまとめた。

午後からは、「患者本位の診療体制を構築する」「大震災と医療・社会保障」「本来の高齢者医療に立ち返る」の3つのシンポジウムが開催され、二日間に及ぶ医療研究集会が終了した。