疑義解釈資料(2006年7月31日)

資料集 疑義解釈資料(2006年7月31日)

厚労省が7月31日、2006年度歯科診療報酬点数表に関する疑義解釈を出したので、紹介する。(順不同)また、使用できる略称についても発表されたので併せて紹介する。

問1

初診月にPul及びPer等の齲蝕に起因する緊急の歯科疾患の治療を行って歯科口腔衛生指導料を算定した患者において、再診月以降に必要があって歯周治療を行った場合にあっては、再診月以降に歯周疾患指導管理料を算定して良いか。

初診月に歯科疾患総合指導料を算定せずに歯科口腔衛生指導料を算定した患者において、再診月以降に必要があって歯周治療を行い、かつ歯周疾患指導管理料の算定要件を満たす指導が現に行われている場合にあっては、再診月以降に歯周疾患指導管理料を算定して差し支えない。ただし、再診月以降に歯周疾患指導管理科を算定する場合にあっては、原則として初診月に行われる治療は齲蝕等に起因する緊急の歯科疾患の治療に限るものとする。なお補綴治療等は歯周疾患の病状安定後に行うものとする。

問2

歯冠修復物の脱離(ダツリ)と同部位の齲蝕(C)以外の傷病が認められない患者に対しても、B000-3に掲げる「歯科疾患総合指導料」は算定できるか。

B000-3に掲げる「歯科疾患総合指導料」は、継続的な医学管理が必要な歯科疾患に対し、当該保険医療機関における継続的な医学管理を患者が希望する場合に算定する取扱いであり、単に歯冠修復物の脱離に対する再装着で治療が終了し、継続的な医学管理を行わない場合にあっては、「歯科疾患総合指導料」は算定できない。

問3

認知症、寝たきり、手指の障害等で自署困難な患者の歯科治療に当たってB000-3に掲げる「歯科疾患総合指導料」を算定する場合、算定要件のひとつである患者の自署による署名は、家族等の代筆でよいか。

B000-3に掲げる「歯科疾患総合指導料」の算定に当たっては、患者に対する説明とその同意を確実に確認できるよう、患者の自署による署名を求めることとしたところであるが、認知症、寝たきり、手指の障害等で自署困難な患者の歯科治療に当たって歯科疾患総合指導料を算定する際は、指導計画等の情報提供が家族等に対しても適切に行われた場合に限り、患者の自署による署名は家族等の代筆で差し支えないものとする。

問4

医科歯科併設の保険医療機関において、総合的医療管理が必要な患者に対して、院内の医科診療科からの文書による情報提供に基づき、歯科医師が総合的医療管理を一定時間以上行った場合にあっては、B004-6に掲げる「歯科治療総合医療管理料」を算定できるか。

B004-6に掲げる「歯科治療総合医療管理料」の算定に当たっては、診療情報提供料の算定に基づく患者の全身状態等に係る文書による情報提供が必要であるため、医科歯科併設の保険医療機関において、院内の医科診療科からの文書による情報提供に基づき、歯科医師が総合的医療管理を一定時間以上行った場合であっても、「歯科治療総合医療管理料」は算定できない。

問5

歯科疾患に係る一連の治療終了後、初めて歯科疾患継続管理診断料を算定した場合であって、当該診断結果から継続指導の必要性を認めた場合にあっては、同日に歯科疾患継続指導料を算定して良いか。

“初回の歯科疾患継続管理診断料を算定した日に、現に歯科疾患継統指導料の算定要件を満たす指導が行われている場合にあっては、歯科疾患継続管理診断料と歯科疾患継続指導料を併せて算定して差し支えない。なお、1年後の再度の歯科疾患継続管理診断料の算定についても同様の取扱いである。

問6

平成18年4月24日付事務連絡において、「歯科矯正診断料」と「顎口腔機能診断料」については、地方社会保険事務局に届出された専任の常勤歯科医師以外の常勤歯科医師が行った場合には算定できないこととされたが、「画像診断管理加算(歯科診療に係るものに限る)」についても同様の取扱いと考えて良いか。

そのとおり。届出された画像診断を専ら担当する常勤歯科医師以外の常勤歯科医師が画像診断を行った場合は、「画像診断管理加算(歯科診療に係るものに限る)」は算定できない。画像診断を専ら担当する常勤歯科医師について、異動(採用、退職等)があった場合は、その都度地方社会保険事務局長に届け出る必要がある。

問7

歯周疾患処置を算定するに当たって、歯周基本治療終了後の検査後に、ペリオクリン及びペリオフィール以外に、テラコートリル軟膏、テトラコーチゾン軟膏、ヒノポロン、ヒノポロンキット等を使用して良いか。また、特定薬剤を使用しているが、使用量が少量である場合等、特定薬剤料の算定ができない場合であっても、歯周疾患処置を算定できるか。


I010に掲げる「歯周疾患処置」の算定に当たっては、特定薬剤料の算定の有無に関わらず、薬事法上の用法として歯周炎患部への注入が承認されている薬剤を使用した場合であって、I010の通知(3)で示した場合に限り、特定薬剤の歯周ポケットヘの注入が認められている。

なお、特定薬剤料の算定ができない場合であっても、「歯周疾患処置」の全ての算定要件を満たす場合に限り、「その他欄」に使用した薬剤名を記載した上で、「歯周疾患処置」を算定して差し支えない。”

問8

I009-2に掲げる「創傷処置」は、入院患者及び外来患者について、手術後又は外傷等の創部の処置についても算定できるか。

“歯科点数表I009-2に掲げる「創傷処置」の算定要件は、医科点数表J000に掲げる「創傷処置」の例により算定することとなっているため、医科点数表J000に掲げる「創傷処置」の算定要件を満たす場合にあっては、入院患者及び外来患者に対して、手術後又は外傷等の創部の処置について、歯科点数表I009-2に掲げる「創傷処置」を算定して差し支えない。

なお、抜歯窩の洗浄等簡単な処置については、従来通り、基本診療料に含まれ、別に算定できない。”

問9

「 顎変形症の術前矯正に必要な便宜抜歯は、保険給付の対象と考えて良いか。保険給付の対象となる場合は、診療報酬明細書の傷病名部位欄には、どのように記入すればよいか。

顎変形症の術前矯正に必要な便宜抜歯は、術前矯正に伴う一連の治療行為であるため、保険給付の対象として差し支えない。また、その際、診療報酬明細書の傷病名部位欄には抜歯する歯の歯式及び「顎変形症術前抜歯」と記載し、自由診療に伴う便宜抜歯(保険給付の対象外)との峻別を図られたい。

問10

顎変形症の改善を図る手術として、下顎骨に持続的に骨延長させる骨延長法を行った場合、歯科診療報酬明細書ではどのように算定すればよいか。また、手術に当たって使用した骨延長装置はどのように算定すればよいか。

医科点数表K058に掲げる「骨長調整手術」の「4骨延長術(指(手、足)以外)」(15,800点)を準用して算定する。また、手術に当たって骨延長装置を使用した場合は、医科点数表K932に掲げる「創外固定器加算」(10、000点)を準用して加算する。骨延長装置の特定保険医療材料料については、材料価格基準に掲げる「固定用内副子(プレート)」の「②特殊」の「ア骨延長用」(229,000円)で算定する。

問11

J064に掲げる「歯肉歯槽粘膜形成手術」は、歯周疾患の治療において必要があって手術を行った場合に算定することとされているが、「3歯肉弁側方移動術」及び「4遊離歯肉移植術」については、歯周疾患以外の歯科疾患の治療において必要があって行った場合にも算定できるか。

“J064に掲げる「歯肉歯槽粘膜形成手術」の「3歯肉弁側方移動術」及び「4遊離歯肉移植術」に限り、通知に示した算定要件を満たす場合にあっては、歯周疾患以外の歯科疾患の治療において必要があって行った場合にも算定して差し支えない。

なお、必要性について、傷病名部位欄を勘案すること。”

問12

保医発0331001号(平成18年3月31日付)によって、保医発0306001号(平成18年3月6日付)の歯科診療報酬点数表に関する事項のうち、第8部「処置」の通則11については、根管貼薬処置と根管充填処置を歯科訪問診療において行った場合の50/100加算は削除されたが、第12部「歯冠修復及び欠損補綴」の通則10では同加算は削除されていないため、根管貼薬処置と根管充填処置について、歯科訪問診療に係る50/100加算は算定できるか。

歯科診療報酬点数表(告示)において、第12部「歯冠修復及び欠損補綴」の歯科訪問診療に係る50/100加算については、根管貼薬処置と根管充填処置は対象となっていないため、算定できない。

問13

M009に掲げる「充填」の「2複雑なもの」とは隣接歯との接触点又は接触点相当部を含む窩洞に対して行う充填をいうものとされているが、当該歯の近遠心側のいずれか一側又は両側に隣接歯を欠く場合にあっては、どのように算定すればよいか。

当該事例の場合は、欠損歯側の最大膨隆部は接触点相当部であるため、この部位を含む窩洞への充填を行った場合は、M009に掲げる「充填」の「2複雑なもの」を算定して差し支えない。

問14

「診療報酬請求書等の記載要領」(保医発0330006号、別紙1)において、1歯に複数窩洞の充填を行った場合は、診療報酬明細書の摘要欄に「当該歯の部位」を記載することとされているが、この「当該歯の部位」については、どのように記載すればよいか。

「当該歯の部位」とは、「1歯につき複数窩洞の充填を行った歯」のことをいうものであり、診療報酬明細書の摘要欄には、複数窩洞の充填を行った歯の部位を歯式で記載するものである。

問15

患者が来院しなくなった場合等であって、歯冠修復物及び欠損補綴物等が装着できなくなった理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載した場合に限り、当該製作物及び特定保険医療材料料の未来院請求を行うことができるものとされているが、患者が来院しなくなった理由を当該保険医療機関が知り得ない場合にあっては、診療報酬明細書の摘要欄に未来院請求である旨を記載するだけで、当該製作物及び特定保険医療材料料を請求して良いか。

そのとおり。

問16

平成18年度歯科診療報酬改定によって、診療報酬明細書の摘要欄に部位の記載が必要な項目が多くなったが、治療を行った部位が単独であり、かつ傷病名部位欄の記載から明らかに部位を特定できる場合にあっては、摘要欄への部位の記載は必要ないと考えて良いか。

そのとおり。

使用できる略称は以下の通り (今回新設されたもの ★)

項目

略称

1 単純性歯肉炎

単G

2 複雑性歯肉炎

複G

3 慢性歯周炎(軽度)

4 慢性歯周炎(中等度)

5 慢性歯周炎(重度)

6 歯科初診料

初診

7 地域歯科診療支援病院歯科初診料

病初診 ★

8 初診時歯科診療導入加算

障導

9 歯科再診料

再診

10 地域歯科診療支援病院歯科再診料

病再診 ★

11 フッ化物局所応用加算

F局 ★

12 フッ化物洗口指導加算

F洗 ★

13 歯科疾患総合指導料1

総指1 ★

14 歯科疾患総合指導料2

総指2 ★

15 機械的歯面清掃加算

歯清 ★

16 歯周疾患指導管理料

P管理

17 歯科衛生実地指導料

実地指

18 歯科特定疾患療養管理料

特疾管 ★

19 歯科治療総合医療管理料

医管

20 新製義歯指導料

義歯指 ★

21 歯科疾患継続指導料

継続 ★

22 薬剤情報指導料

薬情

23 歯科訪問診療料1

訪問診療1

24 歯科訪問診療料2

訪問診療2

25 訪問歯科衛生指導料(複雑なもの)

訪衛指複

26 訪問歯科衛生指導料(簡単なもの)

訪衛指簡

27 老人訪問口腔指導管理料

訪問口腔

28 細菌簡易培養検査

S培

29 歯周基本検査

P基検

30 歯周精密検査

P精検

31 歯科疾患継続管理診断料

継管診 ★

32 スタディモデル

模型 ★

33 齲蝕処置

う蝕 ★

34 咬合調整

咬調

35 直接歯髄覆罩

直覆罩又は直PCap

36 間接歯髄覆罩

間覆罩又は間PCap

37 乳幼児齲蝕薬物塗布処置

サホ塗布 ★

38 初期齲蝕小窩裂溝填塞処置

シーラント ★

39 抜髄と同時の根管充填

抜髄即充

40 感染根管処置と同時の根管充填

感根即充

41 スケーリング・ルートプレーニング

SRP

42 歯周ポケット掻爬(盲嚢掻爬)

PCur

43 歯周ポケット掻爬術

掻爬術又はソウハ術

44 有床義歯床下粘膜調整処置

T.コンデ又はT.cond ★

45 周辺装置加算(エアタービン及びその周辺装置)

タービン ★

46 周辺装置加算(歯科用電気エンジン及びその周辺装置)

エンジン ★

47 歯根端切除手術

根切 ★

48 補綴物維持管理料

補管

49 齲蝕歯即時充填形成

充形

50 齲蝕歯インレー修復形成

修形

51 新製義歯調整料

新義調又は調A ★

52 有床義歯調整料

有義調又は調B ★