資料集 保険の疑義解釈

資料集 保険の疑義解釈

厚生省から2000年4月改定にかかわる疑義解釈が出された。 これは9月5日に開催された社保指導研修会の質疑回答にかわるもの。
従来日歯から出されていたが、今回は厚生省より「事務連絡」として出された。
以下その内容を掲載する(解説は協会)。

検診後の診療

学校歯科検診等の検診終了後、検診を行った保険医が所属する保険医療機関とは別の保険医療機関において治療勧告書を持参して受診した場合の初診料の算定の取扱いはどうか。

初診料の取扱いは従来どおり。検診を行った保険医が所属する保険医療機関と異なる医療機関において、治療勧告書に記載された検診結果に基づき、診断に相当する行為が行われずに、単に投薬等の治療行為が行われた場合にあっては、初診料の算定は認められない。

 「健康診断で疾患が発見された患者が、疾患を発見した保険医以外の保険医において治療を開始した場合は、初診料が算定できる」(平成12.3、17保険発28)歯科初診料、かかりつけ歯科医初診料のどちらかを選択します。

検診後の診療

学校歯科検診等の後、当該検診を行った歯科医師が、治療開始時に治療内容および治療期間等に関する治療計画を策定の上、口腔内写真またはスタディモデルを用いて説明し、文書による情報提供を行った場合は、かかりつけ歯科医再診料を算定できると思うがどうか。

患者の同意に基づき、照会内容に係る行為を行ったものであ三れぱ、かかりつけ歯科医再診料の算定は認められる。

検診を行った歯科医師は初診料の算定はできません。再診料から始めることになります。かかりつけ歯科医再診料からはじめる場合でも、かかりつけ歯科医再診料には患者に対する説明の費用などは含まれています。

か初診の算定対象

かかりつけ歯科医初診料の算定対象となる患者について制限はあるか。例えば、治療が1日で終了するようなう触歯1本の場合についても算定は認められるか。

算定対象となる患者は、年齢、症例、治療期間等により限定されるべきものではない。患者の同意のもとに、かかりつけ歯科医初診料の算定要件であるスタディモデルまたは口腔内写真検査の実施と患者への治療計画の内容等の文書による情報提供が行われれば認められる。

算定対象者が一様に制限されることはないということです。あくまでかかりつけ歯科医初診料の算定要件を満たすことが条牛件。満たさなければ算定できないということです。実日数1日でかかりつけ歯科医初診料を算定する場合でも検査をして治療計画を立てる必要があります。

か初心での検査・情報提供のめど

かかりつけ歯科医初診料の実施にあたり、急性炎症等のためスタディモデルや口腔内写真を患者に説明に用いることが、当日、不可能である場合においては、検査の実施ならびに患者への説明は次回以降となるが、差し支えないか。

急性炎症や出血等により初診当日に所要の検査を実施できない場合や、仮に実施できてもスタディモデルや口腔内写真を用いて説明することが後日になるなどの場合にあっては、その旨を患者に説明した上で、原則として初回または2回目の再診日までに、検査を実施し、治療計画の立案ならびに患者への文書による情報提供を行えば算定できる。なお、治療計画の立案に際して必要な検査は適切に実施し、治療計画に反映するものとする。

「かかりつけ歯科医初診料を算定した初診日に急性症状等でスタディモデル又は口腔内写真検査等、治療計画の立案に必要な検査が行えない場合にあっては、初回又は2回目の再診日までに必要な検査を行い、治療計画を立て、患者に対して文書を提供した上で説明を行ったときに限り算定する」(平成12.3.17保険発28)

か初心での口腔内カラー写真のプリント

かかりつけ歯科医初診料算定の際の口腔内写真はプリントが必要か。

かかりつけ歯科医初診時や検査の部における口腔内写真は、患者へ説明することから原則としてプリントが必要である。デジタル画像等の場合であっても必要に応じプリントが可能であることが前提となるが、治療計画等の説明に際し、患者自身が画面等で撮影されたものを確認できる場合に限りプリントは必要とせず、電子媒体等に口腔内写真の画像情報を保存することは差し支えない。

再度のスタディモデルと口腔内写真

かかりつけ歯科医初診料の算定の際に、口腔内写真検査およびスタディモデルを併せて患者への説明のために実施した場合、いずれか一方の検査を別に算定してよいか。また、後日、口腔内状況の変化が認められれば、再度の口腔内写真検査またはスタディモデル検査の実施は認められると思うがどうか。

かかりつけ歯科医初診料の算定の際に実施する口腔内写真検査またはスヌディモデルについては、症例により選択すべきであり、初診時に両者を実施した場合に、いずれか一方の別算定は認められない。ただし、治療計画の期間中に抜歯により咳合状態が変化する等の口腔内状況の変化があった場合に必要があって行うスタディモデルや再度の歯周検査に伴う口腔内写真検査は認められる。

口腔内写真検査とスタディモデルのどちらか1つを行う。ただし2つ行っても点数は同じです。抜歯などで口腔内の状況が変わ党った場合のスタディモデルや、基本検査3などの再評価時での口腔内写真を必要があって行った場合、別途算定できます。

か初診の文書

かかりつけ歯科医初診料の算定に際し、提供する文書の具体的な記載方法について教示されたい。

かかりつけ歯科医初診料の際に患者に提供する文書は、平成12年3月17日保険発第29号の様式2号またはそれに準じた文書により、病名、症状、治療内容および治療期間等について、初診時に想定される事項について情報提供を行うものである。記載にあたっては、患者が理解しやすい語句や表現を用いたものとされたい。

ある保険者では被保険者に文書の発行の有無を確認しているところもあります。かかりつけ歯科医初診料を算定するには、患者に文書で情報提供を行うことが必要条件です。算定するのならば文書を出すことがどうしても必要になります。

か初診の治療計画書の内容

かかりつけ歯科医初診料の算定に際し、提供する文書の具体的な記載方法について教示されたい。

かかりつけ歯科医初診料の際に患者に提供する文書は、平成12年3月17日保険発第29号の様式2号またはそれに準じた文書により、病名、症状、治療内容および治療期間等について、初診時に想定される事項について情報提供を行うものである。記載にあたっては、患者が理解しやすい語句や表現を用いたものとされたい。

ある保険者では被保険者に文書の発行の有無を確認しているところもあります。かかりつけ歯科医初診料を算定するには、患者に文書で情報提供を行うことが必要条件です。算定するのならば文書を出すことがどうしても必要になります。

か初診の院内掲示

歯科訪問診療の実施中に、患者の傍らで、その家族に対して、歯科衛生士が模型等を利用して実地指導を行った場合、歯科訪問診療時間と訪問歯科衛生指導時間が重複することもあり得ると思うがどうか。

訪問歯科衛生指導は歯科医師の診療後に、その治療内容を踏まえた歯科医師の指示のもとに、歯科衛生士等が患者の口腔内での溝拝または有床義歯の清掃に係る実地指導を患者またはその家族等に行うものである。したがって、歯科訪問診療の時間と訪問歯科衛生指導に係る時間が重複することはない。

歯科訪問診療の時間と訪問歯科衛生指導の時間が重複していると返戻になっています。摘要欄記載は複雑になっていますがこの点にはご注意を。

か初診と未の関係

「かかりつけ歯科医初診料を算定した場合にあっては、治療が終了した日を含む月の翌月から起算して2カ月以内は初診料は算定できない」とあるが、例刺ま、患者が遠隔地へ転居し治療を中断した楊台における未装着補綴物の請求はどのように取扱えばよいのか。

歯科初診料を算定した場合の未装着補綴物の請求の取扱いと同様に、装着予定日より1カ月程度待った上で請求することとなる。

“初診も、か初診も同じ取り扱いになります。
「義歯製作後患者が来ないため装着ができない場合の義歯の費用は、装着の予定日より1カ月程度待った上で請求する取り扱いとされている。なお、帯環金属冠、鋳造歯冠修復物、鉤、バー、フック及びスパーについても同様の取り扱いである。」(昭和38.7.16 保険発78等)”

歯科訪問診察料と訪問歯科衛生指導料との重複

歯科訪問診療の実施中に、患者の傍らで、その家族に対して、歯科衛生士が模型等を利用して実地指導を行った場合、歯科訪問診療時間と訪問歯科衛生指導時間が重複することもあり得ると思うがどうか。

訪問歯科衛生指導は歯科医師の診療後に、その治療内容を踏まえた歯科医師の指示のもとに、歯科衛生士等が患者の口腔内での溝拝または有床義歯の清掃に係る実地指導を患者またはその家族等に行うものである。したがって、歯科訪問診療の時間と訪問歯科衛生指導に係る時間が重複することはない。

歯科訪問診療の時間と訪問歯科衛生指導の時間が重複していると返戻になっています。摘要欄記載は複雑になっていますがこの点にはご注意を。

歯科訪問診察料と訪問口腔

歯科訪問診療の診療時間には訪問歯科衛生指導に係る時間は含まれないが、老人訪問口腔指導管理に係る時間については、歯科医師が実施する行為であり、歯科訪問診療の診療時間に含まれるものと考えるがいかがか。

貴見のとおり。

訪問口腔の明細書記載

歯科訪問診療料と老人訪問口腔指導管理料を同月に請求する台、診療報酬明細書の摘要欄に訪問診療の開始および終了時刻とは別に、老人訪問口腔指導管理料の実施時刻を記載する必要があるか。

貴見のとおり。照会事項に係る摘要欄記載については、平成12年3月17日老健50号を参照されたい。

摘要欄記載が必要なものは以下のとおり。
訪問診療
日付、訪問先、通院困難な理由、指導開始・終了時刻
訪問歯科衛生指導
日付、訪問先、開始・終了時刻、通院困難な理由
訪問口腔
訪問先、通院困難な理由、指導の実施時刻
(全体のその他欄に 訪問口腔、点数、算定日)

老人保健での口腔内写真検査

口腔内写真検査は、従来の歯周組織検査の加算から独立した評価として検査の部に新設されたことから、老人歯周疾患基本指導管理や歯科口腔疾患指導管理における歯周組織検査の場合においても、口腔内写真検査を行った場合は、別途に算定が認められると思うがどうか。

貴見のとおり。

これまでは老人の歯周検査における口腔内写真は算定不可でしたが、4月以降は算定可能になりました。

全顎撮影に複数日かかった場合

全顎撮影(診断160点+撮影250点+フィルム料)に複数日を要した場合の算定方法とレセプト表示はどのようになるのか。

全顎撮影を日を異にして実施することは全顎撮影の趣旨に反するが、極めて稀に日を異にして撮影し、月をまたいだ場合は、同時に撮影できない理由を摘要欄に的確に記載するとともに初月に診断料と撮影料を算定し、「全顎撮影の予定、○枚撮影済」と記載し、次月に枚数が確定した段階で、摘要欄に、全顎撮影に要した枚数を合算しフィルム料のみ(31円×枚数)/10円)点で算定し、「全顎△枚撮影(前月○枚撮影済)」と記載する。

抜髄後の単治

「矢活抜髄の際の矢活前の貼付の普通処置は矢活抜髄に含まれる」と平成12年3月の日本歯科医師会都道府県社会保険担当理事連格協議会の質疑回答にあるが、抜髄処置前において歯髄の鎮静を目的とした普通処置は認められると思うがどうか。

貴見のとおり。ただし、矢活抜髄の場合は、診療報酬明細書の摘要欄に「失活抜髄」と記載し、実際に行った歯髄鎮静に係る内容を( )書きで付記すること。

抜髄に伴って単治が算定できないのは矢活抜髄における薬剤貼付の場合だけです。それ以外の矢活抜髄、麻酔抜髄での単治は算定ができます。

くさび状欠損の処置

う触歯には該当しない実質欠損であるが、例えば、くさび状欠損を有する歯に対して1日で、当該歯の硬組織に対する処置と窩洞形成を完了した場合は、修復物の種類に応じて、う触歯即時充填形成またはう触歯インレー即時修復形成を算定して差し支えないか。

貴見のとおり。

義歯新製中の対顎義歯の調B

有床義歯の新製に着手後、例えば、対顎義歯等を、必要があって調整指導を行った場合に、有床義歯調整・指導料は、規定された回数以内であれば算定できると思うがどうか。

貴見のとおり。ただし、同一月であれば、有床義歯調整・指・導料(調B)は、新製義歯調整指導料(調A)と併せて4回を限度として算定する取扱いとされている。