患者提供文書 しっかり書いてきちんと渡そう

始まった次回診療報酬改定検討

厚労省の社会保障審議会・医療部会で次期診療報酬改定の論議が始まった。
診療側は診療報酬の引き上げを主張したが、支払い側は医療保険財政の悪化に着目した対応を求める声が上がったとの報道もある。社会保障費自然増2200億円の圧縮は避けられたものの、2010年度政府予算の概算要求基準における「基本的な方針」では「自然増について可能な範囲で効率化に努め、その範囲内で社会保障の充実を図る」とされており、前回同様厳しい改定となりそうだ。
中医協の診療報酬改定結果検証部会では、2010年度診療報酬改定に向けた2009年度「特別調査」の実施を決め、本年7月から調査を開始している。調査項目は、(1)明細書発行の一部義務化の実施状況、(2)歯科外来診療環境体制加算の実施状況―など6項目。前回改定時に調査項目としてあがっていた歯科診療における文書提供に対する患者意識調査は今回はまだ含まれていない。

診療報酬圧縮目的で文書提供状況調査も

患者への文書提供に関しては、06年改定で導入されたが、算定要件が厳しいことや患者の満足度等も考慮して、08年改定で条件が緩和された経過がある。その影響もあり昨年より指導管理料の算定が増えた。診療報酬の圧縮を図りたい支払い側からすれば、緩和された条件通りに文書提供がされているのかが気になるところ。
現在のところ具体的な予定はないが、新たな調査が行われれば文書提供についても盛り込まれる可能性がある。

文書提供が必要な主な管理料

文書提供が必須となっている主な指導料は歯科疾患管理料、歯科衛生実地指導料、訪問歯科衛生指導料、補綴物維持管理料、新製義歯管理料の5つ。中には文書の受け取りを拒否したり、受け取ってすぐに捨ててしまう患者もいるので、文書発行にいかほどの意味があるのかとお考えの会員もおられると思う。

患者とのより良い関係構築のツールに

しかし、患者情報提供文書の発行は次期診療報酬改定の重要な要因になる以上に、患者とのより良い関係を築くツールとなる。
算定要件をよく確認し文書提供を行って頂くようお願いしたい。